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海外移住から帰国した異邦人オバサン

シニアのための孤独塾

不安は克服できるのか?

毎年やって来る誕生日に、又ひとつ歳を重ねて思うこと・・。あっという間に過ぎ去った一年だったと感じたり、逆に一日がとてつもなく長い日もあったけれど、身体機能の低下と老後に対する心配事は確実に増している。

高齢者の三大不安は、「お金」「健康」「孤独」といわれています。人生百年時代となれば、老後の生活は長くなるばかり。ならば残りの時間は、不安なんか吹き飛ばし悔いなく楽しい人生を送りたいものです。

老いと向き合う「シニアの生き方」を、孤独という観点で考えていきます。

誇りある「孤独道」を極めよう

【自分の意識改革をする】

WHO(世界保健機関)では、65歳以上の高齢者が人口の21%を超えると超高齢社会と定義し、すでに29%を超えた日本は高齢化比率が世界一の国となっています。そして高齢化が進むほどに増加しているのが「高齢単身世帯」いわゆる独居老人で700万人にも達するそうです。

今後さらに加速していく高齢化問題は社会全体で対応していく課題でありますが、自治体によって対処の差があるのが現状です。これは自分たちで出来ることを、自らが考えて解決していかなければならないという事ではないでしょうか。これからの時代は、たとえ歳を重ねても”一人でも生きていける”という「覚悟と気概」をもって人生を全うすることが求められていると感じます。

たとえ家族と同居していたとしても、すべてを依存するのではなく自立した個人の考えを持つことは、尊厳を保つ意味でも大切です。人はみな、確実に年齢を重ねていきます。今日が一番若い日なのですから、心身健康で自由がきくうちに先を見据えた準備と心構えが必要だといえるでしょう。

【時間は有限だからこそ終活を!】

人生は無限に続くわけではないので、「もっとこうすれば良かった」と後悔しない様に、自分らしい生き方をしていたいものですね。面倒だ、まだ考えたくない、気が進まないと先送りしていては現状に留まり続けるだけで何も変わりません。

より良く生きるための「終活」をできるだけ早くしておけば、安心して楽しい時間を長く過ごせることになります。自分の幸せの答えは自分の内側にヒントがある筈です。あまり気負わず重く考えずに、出来ることから気楽に始めてみたらどうでしょうか?

エンディングノート

いつかやって来る”最期の時”を考えるキッカケとなるので、エンディングノートに書き留めることをおすすめします。決まりはないためどんなものでも良いのですが、本屋や100円ショップに売っている市販の物だと書き易いかと思います。パスワード・保険・資産などの個人情報、医療や介護に関する希望、葬儀や墓について、大切な人へのメッセージや自身の心情などを思いつくままに書いてみましょう。(但し法的な効力は無い)

<悩ましい人間関係を見直す>

第一線を退いたら”しがらみ”を解き放って人付き合いの整理・清算をする。人との関係性をリセットするのは勇気とエネルギーのいることですが、残された貴重な時間を意義ある日々にするためには、生活環境を現状に合ったものにしていく必要があります。これまでの人間関係を思い切って見直して新たに構築して備えます。

過去に寄りかかったり、他人に合わせて同調したり、人と群れて紛らわそうとしたりせずに自然体でいられる人間関係は理想的といえます。煩わしくない軽い付き合いの友人が数人いれば良いとか、つまらない人と無理して付き合うくらいならいっそ一人の方が楽など、個々の考えをもとに以下の「やめた方が良いこと」を参考にしてみて下さい。

  • 一緒にいるととても疲れる、メンタルを消耗させられる、そんな苦手な人とは距離をとる。自慢話や悪口ばかりの人も同様で、無理をして付き合う必要があるかどうかを考えてみる。
  • 調子がよく、自分の都合ばかりの人とは離れる。代わりに困った時互いに助けを求められギブ&テイクできる友人をつくる(いざという時に心強い味方となる)
  • 冠婚葬祭、お見舞い、中元・歳暮などの義理立ては最低限もしくはやめる。

「でも一人で居ると寂しい時もあるし、スッパリと切るのはなんだか恐い」という方もいるでしょう。確かに誰かといるだけで安心できる時もありますよね。一切の関係を断ち切って全く付き合わないなどと頑なになる必要はなく、自分が楽で心地よいライフスタイルを目指しましょう。残りの自分時間をどう費やしたら良いのか、人間関係を含めたすべてを自らの意思で選択してシフトチェンジして行って下さい。

【大人の孤独学】

<孤立しない孤独の道を進む>

人との繋がりや接点が無い、もしくは極端に少ない「孤立」はその状態であり、「孤独」というのは自分や人が感じる感情だといえます。たとえ周りに人がいたとしても寂しいと思えば孤独感を感じるし、一人で居ても寂しさは感じず自由で楽しいと思える人もいます。人それぞれの捉え方次第で、その時の心の在り方でも変わってきます。

年齢と共に社会との関わりが減っていくと人間関係は狭まってきます。最近は通販やインターネットの利用で便利な反面、家に引きこもって暮らせるので孤立が深まります。高齢者が近所付き合いやコニュニティーの参加なく孤立してしまうと、必要な情報が入りにくく生活維持が難しくなります。今後の病気や介護を見据えれば、人とのつながりは最低限保っておくべきではないでしょうか。これまでの人間関係を見直したうえで、相互扶助できる関係性を積極的に作っていく必要があるのです。

<心と身体を健やかに保つ>

加齢で衰えるのは身体機能や脳機能だけではありません。精神も老化し意欲が低下したり気分が落ち込んだり、感覚が鈍感になることで無作法になってきます。また不機嫌がエスカレートすると、キレやすくなり「暴走老人」なんて言われてしまいます。心のもやもや・ざわざわが消えずにいると、鬱になることもある深刻な問題です。

漠然とした不安や焦燥感は誰にでもあるものなので、自分自身で大きく膨らませてしまわぬ様に明るく捉えることは大切です。考えるほど思いつめるほどに不安は深くなるので、ストレスや不安を溜め込まず自分なりの解消方法をみつけておきます。もし不安を感じたら、別の事をして一旦距離を置くことにより客観視されて気分が和らぎます。

歳をとっていくというのはみな平等に訪れることだから、決して悪いことではありません。古代中国(五行説)で人生を四季に例えると老年期は「白秋」といって人生の実りを楽しむ期間だそうです。”長い間ご苦労様”というご褒美ですね。心から”今ここに生きている喜びを実感”してみましょう。自然の摂理に逆わずに出来る事・出来ない事の現実を受け止め、ローギアで悠々と進めば良いのですから。

<楽しく続けてポジティブに>

気持ちが衰えてくると、なかなか新しいことは始められませんよね。毎日のライフスタイルを工夫して、健康維持とともに若い心を保つ努力は不可欠です。

やりたいこと、若い頃やったことなど手軽にできる趣味をみつけましょう。(園芸・料理・絵画・写真・カラオケなど自分だけでも簡単に出来るものが良い)

まずは家に引きこもらずに外出して、心と身体の健康維持から始めてみます。散歩は、軽い運動となるだけでなく日光を浴びると幸せホルモンのセロトニンが分泌され憂鬱気分を吹き飛ばします。

呼吸に集中した瞑想(数息観)で心を鍛える。アロマの香りバスタイムはリラックス効果あり。

やりたいことリスト」や、毎日の楽しいことを探す「幸せ日記」、自分史を綴る「マイヒストリー」を作成するのも良し。(想像や空想・回想、夢やイメージを膨らませたり、下調べをするなどで脳を活性させる◎)

耳から情報を得るラジオは、映像がないので想像力が活発に働き脳の血流量を促します。

<タイムリミットはないから、何歳からでも遅くない

加齢に対する不安に立ち向かい克服するには、その人らしい自立した生き方が求められます。経済的・身体的・精神的な事情が個々あるかと思いますが、足りないものを嘆いても始まりません。自分なりにできる最善を模索して新しいことに挑戦してみましょう。

テレビやパソコンなどに多くの時間を費やさず、自分と向き合う静かな時間を作ります。他者に流されず自分の感性とワクワク感を頼りに、本音に従った自由の道を進む。

孤独の長所を活かし、繋がっていたいと思う大切な人やモノを取捨選択する。したい様に生きたい様にと自分時間を謳歌してみて下さい。そのなかで、日々の小さな喜びやささやかな幸せを見出せるとしたら、胸を張って誇れる生き方なのではないでしょうか。