mamisan@healing 

海外移住から帰国した異邦人オバサン

🔶温故知新🔶<古来の教えから得た知恵を、今に活かそう>vol.3・知足安分

「知足安分」・ちそくあんぶん・

”知足”とは分相応、安分”は自分の境遇や身分に満足せよという意味。欲望は際限ないもので、次から次へとうまれてくる。欲を貪ることで苦しみが起きてくるので、どこまでいっても心は満たされずに不安が消えることはない。上を見ても下を見てもきりがないので野心はほどほどに抑制し、不満や優越感に浸ることもなく身の丈に合った本来の自分で生きよという教えである。

「分をわきまえて足るを知る」とは、自分を律して戒めるという意志の強さを感じます。凛として潔くかっこいい言葉でありますが、現実は中々そうはいかないものです。他人と比べて無いものばかりを求めてしまうと不満や嫉妬に苦しみます。現実と現状の自分を認めて、高望みすることなく心を平安に保っていく。そして日常の幸せに十分満足をして、自身を慈しみ自己肯定感を高めることに専心していけたら良いですね。

」というと良くないもののイメージですが、生きていく上では生理的欲求は不可欠、自己実現のためには向上心が必要などと生きる原動力になる欲もあります。ただ人から”欲深い”とは思われたくないのであまり知られたくない部分であるかもしれません。「欲」は自他という視点から、良い欲と悪い欲に分けられています。社会貢献や誰かを幸せにしたいといった人を思いやる利他的な良い欲もあれば、自己中心の利己的な悪い欲もあるということです。当然問題なのは「悪い欲」の方で、自分の都合による支配欲・所有欲・虚栄心・権力・野心などが過剰になると、理性を保てずにバランスを失うことになります。煩わしい悩みである「煩悩」は、欲求や執着に囚われて心が乱れ苦しむことです。欲求が暴走すると自分をコントロールできずに欲に振り回される状態で、自分も含め周りの人までもが辛くなるでしょう。煩悩は心の中で生まれる人間の内側にある苦しみです。その苦しみから逃れるには自分をみつめ直して、己に打ち勝っていくしかありません。欲に負けずにうまく制御し良い方向へ導くことができれば大きな達成感を得られます。又、それが自信となって豊かで充実した自分らしい人生を送ることができるでしょう。ほんの少しずつでも前に進みセルフコントロールをしていけたら、きっとその先に希望の光が見えてくるはずです。それでも「欲」が溜まってきたならば、年末に「除夜の鐘」で一年分の煩悩を祓ってもらうのも良いかもしれません。